野池 政宏 氏

野池 政宏 氏

一般社団法人Forward to 1985 energy life 代表理事
一般社団法人パッシブデザイン協議会 代表理事
住まいと環境社 代表

正しいパッシブデザインを普及させたい

私がずっと取り組んできたテーマは「環境にやさしい住まい」と「そこに暮らす人が幸せになる住まい」をどう重ねるかということです。
高校で5年間物理の教鞭をとり、その後「環境」に携わる仕事がしたいと思っていくつかの仕事をしているうちにたまたま縁あって「住宅業界」に首を突っ込むことになったのが1990年頃。そこからずっと「住まいと環境」をテーマに仕事をしてきました。いまこの文章を書いているのが2016年の夏。もう四半世紀を超えたことになります。
1990年~2000年頃は、住宅の室内空気環境(シックハウス問題)、シロアリを中心とした木造住宅の劣化問題、日本の森林・林業問題、環境負荷の小さい住宅をどう評価するかといったテーマを追いかけていました。幸いなことにそうした仕事は社会に一定の評価を受け、講演依頼をもらい、何冊かの本も出すことができました。住宅業界ではそこそこ名前が知られるようにもなりました。
2000年頃からは「住宅の省エネルギー」が追いかけるテーマになりました。本当はもっと前からこのテーマに取り組みたかったので、やっとこのテーマに取り組めるようになったことにワクワクした記憶があります。様々な紆余曲折を経て、このテーマでも社会から一定の評価を得るようになりました。自分で言うことに少し違和感がありますが、「住宅の省エネルギー」というテーマではおそらく我が国でもっとも名前が知られる人間の一人になったと思います。
私が情報を出すときに気を付けているのは「できるだけ正確であること」「できるだけ具体的でわかりやすいこと」なのですが、もうひとつ“裏で”大事にしているのが「住宅は個人にも社会にも影響がとても大きいことを知ってもらう」ということです。住宅というもの、社会というものを広く、深く知るほどにその思いが強くなります。

そんな私が住宅の省エネルギーを追いかける中で結論づけたのは「パッシブデザインは家づくりにおいてもっとも優先すべきもののひとつ」ということです。それはとても深い論考を経た結論です。論理的な思考をする人であればどんな人も私と同じ結論に至ることを確信します。論理的であることがこの国でそれほど評価が高くないことがとても残念なのですが、論理的で深い考察を経て得られるものは“かなり正しい、かなり本質を突いている”と言えると思います。
なぜパッシブデザインが「家づくりにおいてもっとも優先すべきもののひとつ」なのかと言えば、それは「環境にやさしいこと(社会的な価値がとても高いこと)」と「そこに住む人に高い満足が提供できる」が両立されるからです。社会と個人の利益が両方得られるものを追いかけていくことが、この国に暮らす人の幸せをもたらすと私は確信しています。だからパッシブデザインがどんどん広がっていったらいいと思うし、これからもそのお手伝いを本気でやっていこうと考えています。
話は変わりますが、私は“一緒に進むこと”が好きです。みんなに「こうしたい」という思いがあったとき、それぞれの得意技で役割分担して、その目標に進んでいくことに喜びを感じます。「プロジェクト型」の取り組みというニュアンスでしょうか。だから全国を回って勉強会の講師をしていても“先生”をしているつもりはなく、「正しいパッシブデザインを広げる」というプロジェクトの一部を担っているという意識です。実際にパッシブデザインの家づくりを行うのは住宅建築の実務者の方ですし。

そんな意識を感じてくれているからか、全国に“仲間”がたくさんいます。“生徒”ではなく“仲間”です。 そんな仲間たちはほんとに真面目で、真摯に家づくりに向かっています。そして“人としていいなあ”と感じる人がほとんどです。 私が何より自慢したいのが、ほんとに真面目で、楽しくて、素敵な人が私の周りに集まってくれているということです。
そんな“素敵な仲間”の中でも、コバヤシホームの小林正和さんは「若手のエースのひとり」という位置づけで、仲間内からも注目されています。コツコツと勉強と実践に取り組み、確実にパッシブデザインのスキルを伸ばしています。
一度会って話をすればわかりますが、そもそも誠実でセンスがよい人なので、パッシブデザインに取り組むのはピッタリです。
パッシブデザインがきちんと組み込まれた家を、小林さんと一緒に、楽しんで建ててください。きっと、とても素敵な住まいになると思います。

パッシブデザインについて
詳細はこちら
まず知っておいてほしいこと
詳細はこちら
身体が喜ぶパッシブデザイン
詳細はこちら
パッシブデザインのポイント
詳細はこちら
何をデザインするのか?
詳細はこちら
5つのパッシブデザイン
詳細はこちら
パッシブデザインによる省エネ
詳細はこちら